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思いついたら、やってみる。

【体験談】大学生に食品工場バイトはオススメか?【キツい?】

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ーーーこれ○○食品のカット野菜じゃん。

 

スーパーのカット野菜のコーナーで私は思わず声を上げた。まさか広島で出会うとは思っていなかった。そのパッケージと社名は決して忘れることのないほど目に焼き付いているからだ。

私のような食品工場の人たちの成果が、数百kmを超えてここまで運ばれてきたんだな。

 

 

ーーー人知れず働く人たちの力で、今日も世界は回っている。

 

 

そう、話は数年前に遡る。

 

 

<目次>

 

 

 

 

お金が必要

 

高校二年生の夏、当時の私のスマホは限界だった。少しの衝撃が加わっただけで電源が落ちた。

画面をつけようとしてスマホを手に取ったら、電源が落ちる。音量を上げると電源が落ちる。

挙句の果てにLINEの通知バイブレーションで電源が落ちる。

自分で電源を切るだけの装置かよ!!

 

 

現代の情報社会にどっぷりとつかってしまった私にスマホなしの高校生活なんて考えられない。

いや本心ではそんなSNSがどうのこうのなんてどうでもいい。

 

 

 

スマホ無かったら、好きなあの子にLINEできねぇ!!!

 

 

 

高校二年生の夏、私はお金が必要だった。

なんとしても壊れたスマホを自分でバイトして買いかえなければならない。

 

 

しかし高校二年生を数日だけ雇ってくれるところなんてそうそうないだろう。もし長期でバイトするならマクドナルドのような店で働ける。一方で私の場合スマホ代数万円が稼げたらそれで充分なのだ。

 

 

そんなとき中学時代の友人AからLINEが来ていたのを思い出した。

 

 

友人A「俺の親父の知り合いが派遣会社やってるから、もしお金がいるときは俺に言ってくれよ!」

 

 

ーーー渡りに船とはこのことか…

すぐに私は友人Aに連絡を取り適当な場所で働かせてもらうことにした。

 

友人A「食品工場だけどいい?結構めんどくさいよ?」

俺「働けたらどこでもいいよ!」

 

そうして決まった食品工場での短期バイト。この時の私は後に圧倒的虚無を味わうことになるとは知らない。

 

 

ここで、私の『設定』を紹介しておこう。

友人から事前に私の設定が送られてきた。

 

夏休み中の大学生1年生、加藤 健太(仮名)。

大学は関西大学。

最近派遣会社に登録したばかりでこの食品工場で働くのは3回目。

 

 

いやまてまて、これ大丈夫か?

加藤健太って誰だよ!!

仕事終わりに勤務記録書に加藤健太でサインしろって言われたしな…

 

 

いろんな方向にヤバい気がするがそんなことは気にしてはならない。

加藤健太が実在するかを考えている場合ではない。

私にはお金が必要なんだ!!!

 

 

初めての食品工場

 

 

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そうして大学1年生加藤健太となった私は、バイト先の食品工場へと向かった。

古びた外観に圧倒されながらも、工場内へと入っていった。

 

受付のおばちゃんに「9時から勤務の加藤です。」と告げる。

とくに怪しまれることもなくロッカールームで作業服に着替えて中で工場長に指示を受けてくださいと言われる。

 

まずはロッカールームで作業服に着替える。厚いゴム手袋をはめ、髪の毛を落ちないようにするキャップを被り、マスクを二重につけ、加藤のネームプレートを首からさげる。目しか見えないし名札が無ければ誰かなんてわからない。

 

ガラス張りの細長い通路を通って馬鹿でかい工場の中央へと向かう。視界の横では袋詰めされた千切りキャベツがベルトコンベアを流れていく。脇のおばちゃんたちが手慣れた手つきで段ボールに詰めていく。

 

―――工場見学のテレビ番組くらいでしか見たことなかったけど、本当に工場ってベルトコンベヤーで流れていくんだなあー。

 

 

そんなアホなことを思い浮かべていると、すれ違ったおばちゃんに声を掛けられた。

 

おばちゃん「あんたエプロンしてへんやん!」

俺「すいません!まだ慣れてないもので…どこに置いてありますか?」

おばちゃん「あほか!なんでそんなんも知らんねん!そこ行って左に決まってるやろ!」

 

まだ仕事も始まっていないのにすでにしんどい。全く知らないバイト先にノーヒントで行くのは難易度が高い。

しかし食の安全のためにも加藤健太のためにも私が問題を起こすわけにはいかない。

衛生管理はしっかりしている工場の様だ。

 

消毒を終えた私は、やっと中央部で工場長に挨拶をした。

 

俺「お疲れ様です!!本日9時から勤務の加藤健太です!よろしくお願いします。」

工場長「あー、加藤君ね。じゃあ君はキャベツ担当ね。内容はそこの人に聞いて。」

 

 

キャベツをかき混ぜ続ける。

 

私が担当したのは水槽に入ったキャベツの千切りから、ゴミや小さすぎる破片を取り除く作業だった。

 

 

―――こんなん余裕すぎるやろ!適当にゴミとってるだけで終わるバイトなんてめちゃくちゃ楽やん!

 

 

右のオッサンがキャベツ千切り器を動かしから猛烈な速度で千切りキャベツが流す。。

一旦水槽に沈め、ゴミを落とす。

私はひたすらにかき混ぜて、ゴミや破片を取り除く。

隣のオッサンがキャベツを網ですくって、キャベツ袋詰め器に流す。

目の前を袋詰めされたキャベツがベルトコンベアを整然と流れていく。

 

完全な無言の作業。

 

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

帰りてえな。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

一時間たったかな?

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

 

 

―――さすがに飽きたわこの作業。地味にかき混ぜるのキツイし。

 

9時から始めて、3時間くらいで別の作業って言ってたからあとちょっとで交代かな…。

 

 

今何時だろう? 

 

 

 

 

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は?30分しか経ってない?

 

 

 

 

 

もう一度時計を見る。

 

 

 

 

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まごうことなく、時計は30分を指している。

 

 

 なにッ!まだ30分しか経っていないだと…?

これはッ!『スタンド攻撃』だッ!!!

 

 

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あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「おれは 数時間働いていたと思ったら 30分しか経っていなかった。」

な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

おれも 何をされたのか わからなかった… 

頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…

 

 

 

 

 

―――まだ30分しか経ってないのか…

 

 

果てしなく時間が流れるのが遅い。アニメを見ていたら一瞬で過ぎる30分も、時間が足りなくて焦る学校のテストの制限時間1時間も、私には信じられない。

一体なんのスタンド攻撃なんだよ…いっそのことキングクリムゾンで時間飛ばしてほしいわ。

 

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

かき混ぜる。ゴミを探す。取り除く。

 

 

 

 

―――これが相対性理論・・・!!!

 

 

かの有名なアルベルト・アインシュタインは「熱いストーブの上に手を置くと1分が1時間に感じられる。しかし美しい女の子と座っているときは1時間が1分に感じられる。それが相対性理論だ。」といったそうだ。

どうせなら「食品工場で働いているときは30分が数時間に感じられる。」も入れておくべきだ。

熱いストーブに手を置く機会よりも食品工場で働くほうが機会多そうだわ。

 

 

 

訳の分からないことを考えられていただけマシだ。

そこからの時間は完全に虚無の世界である。なんの変化もなくキャベツの水槽をかき混ぜ続ける。ああ、ああ、ああ。

 

 

大量のキャベツ廃棄

 

 

「加藤君!!加藤君!!!」

 

俺「え!(俺いま加藤だったわ)はい、すいません。なんでしょうか?」

 

工場長「そろそろキャベツの量はが大体そろった、キャベツのレーンをニンジンのレーンに変えるから、そのキャベツ捨てといて!」

 

 

 

―――ああ、やっと3時間経ったのか…長かった…

 

え?てかこのキャベツ全部捨てるの?こんなに一杯あるのに?ぜったい50玉分くらいあるぞ?

 

キャベツ担当の人たちで協力して、網でキャベツをすくい廃棄のタンクに入れていく。

世の中の便利なカットキャベツの裏にはこれだけのキャベツの犠牲があったと知った。

 

大量消費社会。余分に生産しても余り金銭的マイナスになるため、過剰分はすべて廃棄する。日本は食品ロスが深刻な問題だと聞いている。この工場の一日だけでこれだけ大量の廃棄をするなんて日本全体でどれだけの食べ物が捨てられているのか。

 

―――ごめんな、キャベツたち。成仏してくれ。

 

 

おばちゃんがうるせえ。

 

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次の作業は二人ペアでニンジンをスライスする作業だった。ニンジンのヘタを切り、もう一人がスライサーに入れる。この作業は比較的はマシな作業だった。

 

ペアのおばちゃんが話しかけてきた。

 

「加藤君って大学生?」「はい、そうですよ。」

「大学どこ?」「関〇大学に通ってます。」

「彼女はいるの?」「彼女はしばらくいないんですよー。」

「いつからここでバイトしてるの?」「これで3回目ですね。」

 

 

 

うるせえ!本当は加藤じゃねえんだよ!

何時間ぶっ通しで話してんだよ、てかあんた全然ニンジン切ってねえじゃん!

仕事しろよ!

 

数時間の間延々と加藤健太のプライベートについて質問攻めにされ、辻褄が合うような話を答え続けるのはかなりキツかった。そのぶんキャベツの時よりも早く時間が過ぎたように感じた。不幸中の幸い。

 

 

『キャベツ』がゲシュタルト崩壊。

 

次は二人一組でキャベツの芯を機械で抜く作業だった。

 

―――もう昼の3時か。腹減ったなあ…

 

 

このバイトに休憩時間なんてものはない。夜勤の人はご飯休憩があるようだが、昼勤の人に休憩はないらしい。

 

 

クソブラックじゃねえか!

労働基準法はどこいった!

 

 

 

空腹と戦いながらキャベツの芯を抜く。

キャベツを機械にセットしスイッチを押す。キャベツをかごに入れる。

これを繰り返す。

 

 

ああ、帰りたい。

 

 

 

その後も5時間近く昼食も夕食もなしで様々な野菜をカット野菜へと変えていった。

18時。途中勤務終了時間やっと終わる。

はやくご飯が食べたいなあ。

 

 

工場長は言った。

「加藤君!今日一人バイトがバックレたから、その分代わりに入ってくれる?」

 

 

 

まだ帰れないのか…

 

 

 

相も変らずキャベツの芯を抜く。 

 

 「人はなぜ生きるのか。」「戦争はなくならないのか。」「愛とは何か。」「昨日の晩ご飯なんだっけ?」「男女の友情は…

 

頭をよぎるのは無意味な疑問。

 

 

 

 

俺は何をやっているんだ?

 

 

 

脳が『キャベツ』という概念・存在を認識できず、『何かしらの物体』へとゲシュタルト崩壊を引き起こす。

私は『何か』を延々と機会に入れるだけの存在。

 

 

 

 

そこからは記憶のないまま、工場を後にした。どうやら仕事は終わったようだ。

ついに精神と時の部屋を出た私が手に入れたのは諭吉一枚。

 

世の中は厳しい。

心を無にして人知れず働く人たちの力が私たちの食生活を支えているのだ。

 

 

ーーー今度は人と話せるバイトにしよ。

そう決心した17歳の夏。

 

 

 

大学生に食品工場バイトはオススメか?

 

メリット

  • 時給が高い(1000~円程度、夜勤ならさらにアップ!)ためガッツリ稼げる。
  • 人とほとんど話さなくてよい。
  • 特殊な技能が無くてもできる。
  • 基本的に人材不足なので仕事に入りやすい。
  • 食品工場の裏事情が見れる。

デメリット

  • 時間が経つのがとてつもなく遅い。
  • スタンド攻撃を受けたのかな?
  • あれ、ここって精神と時の部屋かな?
  • 最後の方は悟りをひらく
  • ついに感覚がゲシュタルト崩壊する。

 

大学生にオススメか?という観点では私はあまりオススメしない。

はっきり言って食品工場バイトはめちゃくちゃキツイ。

お金と引き換えに大切な何かを失いそうな気がしてくる。

また異性との出会いが皆無である点も、バイトが重要な恋愛的出会いの場である大学生にとってマイナスポイントである。

 

一方で、がっつり稼ぎたいけれども引っ越しのように肉体的にキツいのはイヤな人、

精神的な圧倒的虚無感・悟りをひらくレベルの無の時間に耐えられる人にはオススメ!

また、人間関係を気にしなくていいのも大きな利点だ。

夜勤で入れば一回で1万5千円稼ぐことも夢ではないが、翌日の講義に遅れないように注意しよう。

 

 

感想:人知れず働く人たちの力で、今日も世界は回っている。

 

私は今まで多くのバイトをしてきたが、その中でもトップクラスの虚無さを誇るバイトだった。無心でキャベツを相手していると『キャベツ』が認識できなくなるという新鮮な体験をした。二度としたくないけど。

 

私たちが何気なく食べているカット野菜は、決して外からは見えない人達の力で日々出荷されていると知った。(普通の野菜しか買わないという人も、飲食店で業務用カット野菜を食べているはずだ。)私はそれからというもの、嫌いな野菜も決して残さず食べることを信条にしている。そうすることで少しでも捨てられていったキャベツの供養になるような気がするのだ。

 

皆さんはも人生経験として一度は食品工場バイトをやってみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は二度としたくねえけど。

 

以上。

 

 

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